スペインと日本の違い8「夫婦の在り方」

スペイン移住

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた10万円の一律給付の件。

「原則、世帯主から申請があった口座に家族分をまとめて振り込む」に驚いた。
えっ、なぜに世帯主に?

「世帯主である夫の虐待から避難している親子などについては妻からの申請を受け付け、事実関係が確認できれば夫とは別に給付される」
らしいのですが、
「申出書には、DVを受けたことを確認できるものが必要です」とか。

DVとまではいかなくても、必ずしも家族関係が良好な家庭ばかりだとは限らないし、何より個人に支給されるものなのに世帯主が一括してって、どうも納得できないシステムです。

例えば、夫が世帯主として、奥さんが至急その10万円が必要だったとしても、夫が手続きをしてくれるまで待たないといけないってことなんですよね。

夫婦であっても個人を尊重するスペイン

同じことがスペインで起これば大変な問題になるでしょう。
まー、10万円もらえるのは、みんな嬉しいではずですが。

スペインでは夫婦で一つという考え方ではなくて、夫婦であっても個人。
もちろん、夫婦として一つのことを決めたり、責任を持ってやっていかないこともありますが、それでも個人の考えが尊重される場合が多いです。

これは、多少個人差や家庭によっても違うかとは思いますが、
家族の集まりなどがあっても、いつも「行きたくなければ行かなくてもいいよ」と言われます。

日本だと(もちろん個人による、家庭によるということは前提ですが)、
嫁が(夫の)家族の集まりを断るなんて!と、出来ていない嫁、非常識な嫁に思われることが多いかと思います。

少し前(今でも?)までだと、それが離婚問題にまで発展してしまうこともあったかも。

結婚しても姓が変わらないスペイン

結婚しても名字が変わらないという制度にも表れている様に、結婚は個人対個人のものであって、相手の家族になるという考え方はありません。

「お嫁に行く・もらう」なんて言うと、すぐにマチスタと言われ、大きな問題になるでしょう。

結婚しても姓が変わらないということは、家族で同じ名字を持つのは兄弟だけということになります。

スペインは名字が二つあって、子供は父母の名字一つずつもらうので、

(夫)山田 鈴木 太郎
(妻)佐藤 木村 花子
(子供)山田 佐藤 一郎
(子供)山田 佐藤 まり

というような感じになります。

子どもの名字には父母の名字が一つずつ入っているので、両親との繋がりが見えますが、夫婦間では名前上の繋がりが全くないんですよね。

「好きな人と同じ名字になりたい!」とかって考え方は、全く理解できないでしょうね。

スペインでは結婚という形を取らないカップルも多い

そんな中、結婚しないカップルも珍しくはありません。

一緒に住んで、(カップルによっては)子供もいて、お互いのパートナーの家族とも交流があり…と、日本でいう「結婚」と全く同じ。
ただ法律上の婚姻届を出しているかしていないかの違いです。

日本だと、法律上、結婚していないと、
「家族とは認めない」
「オフィシャルの場(親戚の結婚式、集まりなど)に呼ばない」
ちょっと前まで(今も?)なら、
「お父さんと呼ぶな。まだ君の父親(義父)ではない」みたいな、笑。

でもスペインでは「娘、息子のパートナー」として、全く同じように接します。
私もパートナーのお兄さんの結婚式に呼んでもらい、家族のテーブルに座らせていただきました。

友だちや知り合いのカップルが、結婚しているかどうかなんて気になりません。
子どもが大きくなってから「私たち結婚することにした」と聞かされて、「あっ、結婚していなかったの?」と気付くことも。

有名人でもそういう人たちが多いし、驚きもありません。

Pareja de hecho(パレハ・デ・エチョ)の形をとるカップルも

日常生活、特にお互いの人間関係で困ることがない。
結婚という形をとっていなくても「結婚してないのに子供さんがいるらしいよ」とかっていう近所の目もないスペインですが、権利の面での優遇はありません。

そこで、結婚とほぼ同じ権利を得ることができる「Pareja de hecho(パレハ・デ・エチョ)」というシステムがあります。

これは、日本で言うと「事実婚」のようなもの。
何も届けていないカップルと異なるのは、結婚とほとんど同じ権利が認められるということ。

じゃあ、結婚と何が違うの?というと、相続ができません。
ただ、離婚のときにスペインでは紙一枚にサインするだけではなく弁護士を立てるわけですが、このパレハ・デ・エチョを解消するときには、そういうプロセスは必要ありません。
ただ、日本では婚姻関係が認められないのはもちろんですが、そういう制度もないので、スペインでパレハ・デ・エチョの手続きを取っていても、普通のつき合っているカップルということになります。

ちょうど、恋人関係と婚姻関係の間にあるので、結婚するまでのステップとしてこの形をとる、スペイン人ン×日本人のカップルもたくさん見られます。



それぞれが自立しているスペイン

日本でも私の両親は「結婚していないのに一緒に住むなんて」という時代だったようですが、もちろん変化してきています。
私の時代には「結婚する前に数か月一緒に住んでみるほうがいい」と言われるようになりました。

文化も習慣も違うので、どちらのシステムが優れているとは一言では言えませんが、考え方が大きく異なるのは事実です。
これからの時代、やはり「個人」を尊重し、自分の行動の決断そして責任は全て自分に、というほうを私は選びます。

以前バイヤーをしていたとき、購入されたご婦人が自分のわがままで「イメージと違った」と返品を希望され、返品不可というルールを承知での購入だったので「無理だ」と伝えると「では主人に相談して連絡させます」と言われたことがありました。

emi
emi

(・・???

え”っ?
いやいや、主人であろうが総理大臣であろうが、相談するのは勝手ですが(時間の無駄だけど)誰が連絡してきても無理なものは無理なんですけど。

そんな瞬間、ちょっと残念だな~と *_*

主人に連絡させたら、こっちが折れて自分の希望通りになると思ってるってことですよね??
それに「主人に相談」って。
いい大人なんだから、そんなこと自分で決めてね。(この場合、諦めてね)

フィフティ・フィフティな夫婦関係

お互いの関係に「養う」「養ってもらう」というのもないので、家賃も半分ずつ、ローンも半分ずつ、そして、もちろん家事も半分ずつというカップルが多いスペイン。

もちろん、それぞれの家庭により事情が違うので、きれいに全て半々というわけではありません。

どちらかが仕事をクビになったら、再就職するまでもう一人が払うとか、その間は家事をするとか、たくさん稼いでいる方が多めに払うとか、一人しか働いていなければその人が全部払うとか…もちろん臨機応変です。

だから、積極的にお料理をしたり、お皿を洗ったりする男性も多い。

実家に帰って、暇なのに全くお皿を洗おうとしない父に、ちょっと?となります。
母が何とも思っていないので、それでいいんですけどね…*_*

日本の夫婦の方が長続きするのかもという点

ただ、日本の結婚に対する考え方の方が夫婦関係が長続きするというのは一理あるかもですね。

やはり、個人より「家族」で物事を判断することが多いと、小さな問題や喧嘩があったときに、そこで踏ん張れる力が強いと思います。

「養っていかなければ」「養ってもらってる」という形については意見が分かれるとはいえ、責任感というか義務感というか、そこからちょっと我慢しようと思え、落ちついて考えると実は何てことない問題で何事もなかったように夫婦関係が続いていく。

反対に、スペインのように「個人」だと、そこで我慢せず、大喧嘩になって、実はどんなカップルにも起こり得るつまらない喧嘩だったのに、勢いで別れてしまう。

というようなことが起こる確率が高いかもしれません。

という私も、
ちょっと喧嘩して雰囲気が悪くなっているときに、義家族との食事会があって、こっちとしては「面倒くさいかもしれないけど来てくれたら嬉しいな」とか言ってくれたら「もちろん、行くよ!」となっていたところ、「行きたくなかったら行かなくてもいいよ。自由だから。僕は行くけど」みたいなことを言われて、余計に落ち込んだことがあります。

日本人的ですね。
向こうは「普段からあなたの自由だけど、特にこんな時は余計に面倒くさいでしょ。来なくていいよ」というボジティブな意味で言ったんだと思いますが。

ただ、つまらない喧嘩の時はお互いに我慢して、冷静になって問題がないことに気づいて、何事もなかったように進んでいくというのはいいのですが、あまりにも「家族」>「個人」だと、それが大問題の場合も、我慢して自分を殺して生きていくことになります。
それは悲しい。

それが「個人」第一なら、スパッと別れて、新しい道を切り開くこともできます。



両方の良いとこ取りができればいいんだけど

日本とスペイン。本当に足して2で割ったらちょうどいいのに、と思うことがよくあります。

そんな良いとこ取りは無理なんですよね、笑。
以前はスペインでは、スペインのダメなところが目につき、日本に帰ってきたら年々、理解できないことが増えてきて、どちらにいてもストレスが溜まっていた時期もありました。

最近は、それぞれの素晴らしい所を考えるようになり、両方を経験できる生活を楽しもうと思っています。

 

スペイン移住
emispainをフォロー
Andalucía✿アンダルシア街歩き from スペイン
タイトルとURLをコピーしました