留学や海外移住を考えるとき、心配で憂鬱なのがビザや滞在許可の手続き。
まず国内(日本)でビザの申請です。
いろいろ条件があるので、自分はどれに当てはまるのか、どのビザだったら取得できるのかを考え、決めた後は銀行の残高証明書や無犯罪証明書(ビザの種類による)など、それまでは無縁だった書類集め…などなど、申請までに結構大変です。
全部書類が揃っていても、実際にビザが降りるまで、少なからず緊張しますよね。
そして、入国した後は、落ち着く間もなく、その町の警察などに居住許可の申請に行かなければなりません。
実は、そこからが、驚きの連続。
日本での問い合わせ、書類集め、申請…なんて大変なうちには入らないのです。
とにかく人によりルールが違う
何が驚いたかって、居住許可申請と言う大切な場で、人によって言ってることが変わること。
これは、ずいぶん後になるまで、頭の中が???だらけで、納得する(あきらめる)まで時間がかかりました。
このスペインの“ルール”がわかっていないと、いろいろな場所で納得できない不思議なことだらけで、無駄なストレスを溜めることになります。
まず、学生ビザで入国後、30日以内に、警察署にビザとパスポートのコピーや他の書類を揃えて、滞在許可証(学生の場合は学生証)の申請に行かなければなりませんでした。
そこで、学校の秘書課に詳細を訊きに行ったのですが、なぜか歯切れがよくありません。
そこは有名な語学学校で、日本や韓国、アメリカなどヨーロッパの国々以外からも多くの学生を受け入れていました。
つまり、今までに数えられないくらいの留学生に、同じ説明をしているはず。
なのに、何一つ、はっきり教えてくれません。
一応、その日の時点での「揃えないといけない書類」を書いた紙をもらったんですが、全てにおいて「念のため○○も用意しておいた方がいいです」という説明なんです。
例えば、パスポートのコピー。
「顔写真とVISAのページ(入国スタンプ)」と書いてあるのに(当時)「念のために全ページのコピーをしておいたほうがいいと思います」というふうに。
日本人の概念からすると
「いやいや、顔写真とVISAのページって書いてあるんだから、全ページはいらないんじゃない?」と思うのですが、「用意しておいた方がいい」と。
時間も「〇時から〇時まで」と書いてあるのに
「念のため〇時までに行っておいた方がいい」とか。
全てにおいてそんな感じだったので、私は「この秘書、何もわかっていないんだ」と思いました。
はっきりした情報を理解してないので「念のため」「念のため」…って言っている、と思ったのです。
そして、実際に、警察に出向き、さらに驚くことになります。
初めてのコミサリアでのトラブル未遂
警察署(コミサリア)には長い行列ができていました。
当時は予約システムもなかったので、とりあえず「行って並んで待つ」しかありませんでした。
私はパスポートの全ページのコピーを持っていなかった(学校の秘書さんを信じていなかった^^;)ので「もし本当に必要だったら、この間にコピー屋さんへ行って戻ってこよう」と思い、門にいた係員さんにたずねました。
すると「顔写真とVISAのページだけでいい」とのこと。
そのまま列に並んで数時間。
朝いちばん、オープン前に来たのに、クローズの時間が近づいてきました。
すると突然「今日は、ここまで!」と、なんと私の後ろで切られてしまったのです。
まだクローズまで時間があったし、もしかすると後ろにいた人たちも入れたかもしれないのに、その時点で「明日戻ってくるように」と帰されてしまいました。
もちろん、次の日、優先されるなどということもありません。
そういう意味では、ぎりぎり入れた私はラッキーでした。
秘書さんの「念のため〇時までに行っておいた方がいい」というアドバイスのおかげですね <(_ _)>
そして、やっと私の番が回ってくるのですが、
なんと
「パスポート全ページのコピーはどこ?」
と言われたのです。
え”っ(@_@)
「紙に顔写真とVISAのページだけでいいと書いてあったし」
「今朝、門で係員の人にも訊いたし」
なんてこと、全く通じません。
結局、一番近くのコピー屋さんまで走り、コピーして戻ってきました。
さっき書いたように、クローズ時間が迫り、私がその日の受付最後のひと。
しかも、コピーやさんも、お昼前で閉まる寸前。
何もかもがギリギリだったのですが、なんとか間に合ったというわけです。
本当に今思うと、ついていたと思います。
何か一つ、間に合わなかったら、翌日、もう一日学校を休んで、並びなおさなければならないところでした。
ビザの種類を間違われ却下された滞在許可
そして、2回目の延長のときのこと。
スペインの学生ビザには、短期と長期の2種類があり、短期は91~180日しか滞在できず現地で延長もできない、長期は6か月以上滞在でき、現地でさらに延長できる、というものです。
滞在できる条件も大きく違うので、長期の方が、日本で申請時に揃えなければならない書類も多かったです。
私は、最初から6か月以上と決めていたので長期ビザで入国したのですが、警察に行くと、なんと「これは短期ビザだから6か月が過ぎる前に出国しなければならない」と言われたのです。
ビザはパスポートの1ページに貼ってあって、短期と長期で色が違うわけでもなく、素人目にはパッと見て違いがわからなかった(というか誰かと比べたこともなかった)のですが、
それを専門としている部署ですよ。
見分けられないわけがないでしょ???
私を担当した女性は、中堅と言う感じで、昨日入ったばかりの新人でもあるまいし(いや、たとえそうであってもわからなきゃダメでしょ)
私が「これは長期滞在できるビザです」と何度説明しても「NO!」と言うばかり。
そして「ちょっと待って、ボスを呼んでくるから」と言って、上司の女性が登場。
すると、その上司は私のパスポートを確認して
「本当だ。6か月を過ぎてスペインにいたら違法だから、その前に必ず出国しなさい」
と言って、結局6か月ぎりぎりまでの申請を受け付けてくれました。
その後、結局どうなったかと言うと、6か月の期限が切れる前に、もう一度行くと、別の人が担当で、何も言わずすんなりと1年まで延長してくれました。
結局、あの却下はなんだったんだ…???
担当者のミスでも弁護士さんにお願いしてクレーム
そして、これは知り合いの話なのですが、きちんと全ての書類・条件が揃っているのに関わらず、担当者のミスで「即帰国」と言われてしまったひとがいました。
結局、その後すぐに、他の担当者が、そのとき判断した担当者のミスだと認めてくれたのですが、その場で「間違いでした。全部OKなので許可がおります」と言うわけにはいかないのです。
書類上、一旦拒否されたものは、文書でクレームを提出しなければならないとのこと。
もちろん、スペイン語で。
しかも、公式文書として、きちんとした形式で。
そんなこと、外国人に言われても…ですよね。
しかも自分たちのミスのくせに…ですよ。
結局、弁護士さんに頼んで、書類を作成してもらい、クレームが認められ、晴れて滞在延長許可が出たというわけです。
よくよく考えてみると、私の長期滞在却下は6か月より前の時点だったので「言葉での警告」で、その後、6か月少し前に行ったときは、何事もなかったように正しい判断で普通に許可されたのですが、もし書類上で一度却下されていたら、同じように文書で抗議しなければならなかったんですよね。
面倒くさいことになるところでした。
そうならなかっただけでも、よかったのかも。
トラブルを避けるための申請時のポイント
他にも小さな問題はたくさんあるのですが、このようなことが普通に起こるんですよね。
個人のお店ならまだわかりますが、外国人の居住許可を巡って、人によって言っていることが変わったり、間違った判断をされたり。
はっきり「必要だ」と書いてあるのに、求められなかったり、その反対だったり。
だから、日本人の間(きっと、他の外国人でもですね)でも、
「○○さんは△△が必要だって言ってたから、わざわざ用意したのに結局、いらなかった」と不服そうな人や、
「えー、私はそんなのいらなかったよー。○○さんは大変だったねー」
とかって、マウント!?を取ってる人もいて、私はそんな状況が嫌いでした。
みんな忙しい中、わざわざ紙に書いてあげたり、経験談を話してあげているのにね。
結局はっきりした情報がないので、また、あってもコロコロ変わるので、100%確かなことがないんですよね。
それがスペインでは普通なんです。
実はその後、ずいぶん経ってから、私の長期滞在のビザを却下したひとと話す機会があったり、他の人にもいろいろ聞いたりして、驚きの連続でした。
また次回、その話も書きますが、
とりあえず私がおすすめするのは
・理不尽なことがあるだろう、100%正解はないと心の準備をしておく
・事前に起こりそうなことを予想して、できることは用意していく
ですね。
もちろん、本当は正解はあるはずだし、間違ったことを言われたらその場で抗議しなければなりませんが、例えば上の友人の例のように、「法律的に正式文書で抗議しなければならない」と言われたら従うしかないんですよね。
いくら腹を立てても、正論を主張し続けても、無理なんですよね。
日本の場合だと「おっしゃる通りなんですが、こういう決まりになっておりまして…。まことに申し訳ございません」などと頭を下げて…となるのでしょうが、
スペインでは謝るポーズやことばなんてあるわけがなく「決まりだから、仕方ないね。ついていないわね」と目も見ずに、隣りの同僚に目配せしながら言われそうです。
そして、コピーの例のように、必要ないと言われても、疑問を持っていてそんなに大変なことじゃなければ、私は用意をするようにしています。
これは、日常生活の中、普通のお店やレストランなどでも、
「予約しなくても大丈夫だよ」と言われても、念のためしておくとか、
荷物の受け取りに「パスポートはいらないよ」と言われても、一応持って行くとか。
「滞在許可証」の切り替えをしている間の「再入国許可証」なんかもそうですよね。
私は何度も切り替え中に一時帰国していて、そのたびに「再入国許可証」を申請して持って行っているのですが、毎回EUに入る際、提示を求められます。
なので必ず持って行くのですが、一度知り合いの知り合いが急遽帰国するのに、申請する時間がないとのことで、手伝ってあげたことがありました。
無事申請して受け取ることができたのですが、結局、空港では(片道チケットだったのに)提示を求められなかったそうです。
空港で入国スタンプを押してもらうのも忘れずに!
あ、そうそう。
空港で思い出しましたが、パスポートに押してもらう入国スタンプ。
最近は、押してくれないことも多いですよね。
私はパリとアムステルダムで、その場で押してないことに気付き、頼んで押してもらったことがありましたが、それでも「必要ないから」となかなか押してくれないときもありました。
「押す」「押さない」とやり取りするより、何も言わず押してくれた方が早いと思うのですが…(*_*)
学生ビザで居住許可を申請するときは、必ず確認して、押してもらってください。
すでに居住許可を持っていても、その後、労働許可など他のステータスに変更する可能性もあるかもしれないし、何日間EUにいたかを証明しなければならくなったときなどのことを考えると、常に押してもらっておいた方がいいと思います。
最悪、EUの乗り継ぎ国で押してもらえなくても、スペイン入国時に言えば、そこで押してもらうこともできるはずです。
これも、100%必要というわけではありませんが、あとあと問題にならないように、「念のために」おすすめします。
今では、あの歯切れが悪かった語学学校の秘書さんと同じことを言ってる私(笑)
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