カトリック国スペインで最も大切なイベントのひとつ、Semana Santa(セマナ・サンタ/聖週間)。
ですが、SNSでこの話題を取り上げると、日本の人にあまり反応をいただけないのも事実。
やはり宗教が絡むと、後ずさりしてしまう人が多いのかもしれません。
だしかにセマナサンタは宗教行事で、信者の人たちにとっては、とても特別なものなので、リスペクトしなければなりませんが、実はスペインでも、セマナサンタをアート&ショー&パフォーマンス&お祭りとして楽しんでいる人も多いのです。
特にマラガのprocesión(プロセシオン=行列)は、
「マラガの街全体を舞台にした、クオリティの高いアート&ショー&パフォーマンス」
だと言え、見る価値あり。
ただ、セマナサンタというように一週間続き、いつどこで何を見ればいいのかわからないのが普通。
今日は、マラガのセマナサンタのポイントと、おすすめプロセシオンを紹介します。
セマナサンタって何?
セマナサンタとは、イエス・キリストの復活を祝う復活祭前の一週間。
春分の日の後の最初の満月の次の日曜日(まさに今日)に、キリストの復活祭が行われるので、その一週間前の日曜日に始まるセマナ・サンタ。
月の満ち欠けにより、日程は毎年変わります。
そしてこの週に、イエス・キリストの受難〜復活までのシーンを山車で再現した trono(トロノ…マラガでの呼び方)を担ぎ、街を練り歩きます。
山車は何台もあり、それぞれ大きいので信者を中心とした大勢の人で担がなければなりません。
その山車の前後に音楽隊やnazareno(ナサレノ)、信者を伴って街を縦断します。
沿道には大勢の人が集まり、その行進を見学、掛け声を掛けたり写真を撮ったりしています。
それが全国各地で、それぞれの形で行われます。
アンダルシア地方マラガのセマナ・サンタは、セビージャのそれと共に特に有名で、地元の人はもちろん、スペイン各地や外国からの観光客で溢れ、街が一年で一番賑わう一週間になります。
普段はそれぞれの教会に置かれているキリスト像やマリア像を乗せた山車が担ぎ出され、街を練り歩く様子は圧巻。
宗教行事というと荘厳なイベントを想像されるかもしれませんが、アート&ショー感覚で大勢の観光客が見物に訪れます。
地元の人たちの自慢 マラガのセマナサンタの特徴
スペイン各地で行列が行われますが、都市により特徴があり、それぞれ違った印象が味わえ
ます。
マラガのセマナ・サンタの特徴、portador(ポルタドール)と呼ばれる山車を担ぐ人たちが、山車の下に入って隠れてしまうのではなく、外から見える位置で担ぎます。
この方法により、山車の動きがスムーズでエレガント。
地元の人たちの自慢でもあります。
この自慢は、もう100回以上聞かされていますが(笑)、最初聞いたときは、(セビージャやコルドバのように)担ぐ人が山車の下に入り外から見えないほうが普通に考えて美しいんじゃないかなと思いました。
が。
やはり、地元民が言うように、動きがとてもスムーズ。
そして、担いでいるポルタドールたちのtúnica(チュニック)などの衣装も含めてアート、また表情、動きなどから思いが伝わってきて、より心に届く感じがします。
マラガのセマナサンタ どこを見ればいい?
そんなマラガのセマナ・サンタ。
45もの行列があり、どこで何を見ればいいのか迷いますよね。
そして、全てのトロノが同じ通りを行進するわけではないので、スケジュールをある程度知っておかないと、うろうろしているうちに、結局一つも見られなかった…ということになりかねません。
まずスケジュール表を手に入れる
まず、最初にすることは、スケジュール表をもらうこと。
毎年、各曜日のスケジュールが書かれたitinerario(イティネラリオ)が用意されます。
そこには「何曜日の何時に、どのプロセシオンがどの通りを通過する」というのがわかりやすく書いてあります。
いろいろなところが広告も兼ねて作っているので、種類はたくさんありますが、写真やイラスト付きでトロノの説明もしてあり、とても分かりやすいです。
市内のレストランやカフェ、お店、ホテルなど、市内だとあちこちにに置いてあり、誰でも無料でもらうことができます。
マラガのセマナサンタ おすすめのプロセシオン
スケジュールは手に入れたものの、たくさんありすぎて一体どれを見ればいいの?
と思われると思います。
街の広い範囲に渡って練り歩きが行われ、どこも人、人、人で本当に混雑します。
行列が到着する前から通りが通行止めになり、場所どりをしている人もたくさん。
なかなか思い通りに移動できないので、もし、ホテルの近くや、たまたま食事をしていた場所などの近くを通るプロセシオンがあれば、それを優先して見ることをおすすめします。
特にホテルの窓や、偶然いた場所から見ることができればラッキー。
わざわざ離れて、他のを見に行くのは勿体ないですからね。
そして、そういうのがなく、ピンポイントで行列を見にいくひとに「おすすめのプロセシオン」をあげてきますね。
Jueves Santo(聖木曜日)の Cristo de Mena
どの行列もそれぞれ見応えがありますが、中でも大人気なのはJueves Santo(聖木曜日)。
朝、船でマラガの港に到着したlos legionarios(兵士たち)が行進する大人気の『Cristo de Mena』というプロセシオンがあります。
兵士たちのパフォーマンスも迫力があり有名で、これを見に他の都市から、わざわざ木曜日にやって来る人が大勢います。
ただ本当に人が多いので覚悟してくださいね!
Lunes Santo(聖月曜日)の Catuvio
続いて、Lunes Santo(聖月曜日)のCatuvio (カウティボ)。
El Señor de Málaga(マラガのセニョール)と呼ばれるカウティボのプロセシオンは、山車の後に続いて一緒に歩く信者の数が一番多く、その人気を物語っています。
プロセシオンの間中、あちこちから「viva!(万歳)」「guapo!(男前)」という声が飛び交います。
Viernes Santo (聖金曜日)の Servitas
そして、イエス・キリストの受難と死を記念する Viernes Santo (聖金曜日)。
喪に服すこの日はチュニックも黒ずくめになり音楽も華やかさはなく、一日中厳かな空気が流れます。
中でも独特なのが、クライマックスのServitasというプロセシオン。
他のプロセシオンは、イエス・キリストとマリア様が通りますが、このServitasは、キリストは亡くなっているので、マリア像のみの行進です。
そして深夜、街灯が消され、話し声も聞こえなくなり、音楽もなし。
本当に真っ暗になります。
そして低いタンボールの音と信者たちの囁きだけが響き、独特の雰囲気になります。
Miércoles Santo(聖水曜日)の el rico
また、Miércoles Santo(聖水曜日)にも、独特の行列があります。
囚人の一人が刑務所から出てポルタドールとして山車を担ぎ、その任務を終えた後、釈放されるel rico(エル・リコ)というプロセシオン。
え”!? という感じですが、
これは実は、
「18世紀にコレラが流行し、山車を担ぐ人がいない状況の中、囚人たちが刑務所から出て担ぎ手として行進し任務を果たした後、一人も逃亡することなく全員刑務所に戻った」という実話があり、以来毎年、一人の囚人に恩赦が与えられ釈放されているのです。
もちろん、数多くの囚人の中から選ばれた “優秀な” 囚人にチャンスが与えられることになります。
見るのにおすすめの場所は?
プロセシオンは、それぞれ時間、ルートが異なります。
itinerario(イティネラリオ)に、何時にどこを通るかが記されているのでチェックして早めに着くように行ってください。
街を練り歩くので、どこで見るのがおすすめか?ということですが、写真を撮ることも前提として考えて、背景にある建物によってかなり印象が変わってくると思います。
カテドラルなどの歴史的な建造物とか、建物の色とか、窓とか、キレイな街並みとか…。
混雑具合にもよるし、隙間があるだけでもラッキーなときもあるので、贅沢は言えないかもしれませんが余裕があれば、そんな場所を探してみてください。
それと、直射日光が正面から当たると、長時間そこに立っているのは辛いです。
なので、その辺りも頭に入れておいてください。
土地勘が無い人も大丈夫!全てのプロセシオンが見られる場所
土地勘ゼロだし、方向音痴だし、地図を見てもわかりにくいという人に、ここに行けば全てのプロセシオンが見られる、という通りがあります。
それは、街の中心のAlameda Principal(アラメダ・プリンシパル)という大通り。
そして、ショッピングのメイン通り、Calle Marqués de Larios(通称・ラリオス通り)です。
全てのプロセシオンがここを通るので、1日中ここにいると、その日のトロノ全てが見ることができます。
ただ、人はすごく多いです。
また両通りとも、椅子の席があるので、その後ろに立たなければならないので見にくいかもしれません。
マラガのセマナサンタ 注意点
セマナサンタ期間中は、優先順位が全てプロセシオンになるので、普通の観光をしたいと思っている人にとっては、残念な1週間になります。
なので、おすすめしません *_*
・そもそも空き部屋がない
・どこへ行っても人人人
・公共交通機関がいろいろ変更になる(時間変更・バス停移動など)
・観光スポットにもセマナサンタの飾りつけや椅子などが置かれ普通の写真が撮れない
・通過するプロセシオンの溶けたロウが通りに落ち固まっているので道がきれいじゃない(車のタイヤがうるさい)
・聖木曜日・聖金曜日はお店などが閉まる
・長時間通りで待つことになるので身軽な格好で
・帽子、日焼け止め、サングラス、動きやすい靴は必須
・とにかく人が多いのでスリに注意
・夜までプロセシオンがあるので人がいますが、一つ通りを入ればひっそりということもあるので、見学後の宿泊場所までのルートを頭に入れておく。
・復活祭(Domingo de Resurrección/La Pascua)は午前中一つのプロセシオンのみ
金曜日は一日中、黒い衣装での行進なので、華やかなセマナサンタの写真を撮りたい場合は木曜日までに撮っておかなければなりません。
最後の日曜日は、比較的すいています。
金曜日が終わると(お祭りとしての)セマナサンタが終了したという雰囲気になるので、盛り上がりには欠けます。
セマナサンタの時期にお休みが取れる方は、是非日程を合わせ、マラガのセマナ・サンタを通してスペインの伝統文化を感じてみてください♪
***こちらに記載しています情報は予告なく変更になることもあります。ご了承ください***
2020年のセマナサンタはこんな感じでした ↓
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