*最近よく質問をいただく、スペイン・ラテンアメリカに住むことになったきっかけ&体験談です。
以前、別の場所に投稿した記事をできるだけそのまま転載しています。留学・移住の参考になれば嬉しいです。
1995年夏-。
久しぶりに会った野茂投手は、やっぱり大きく見えた。
時のひとだ。
メジャーリーグ取材でLAへ
サンタモニカ、マリナ・デル・レイ、チャイニーズシアター、リトル東京・・・
観光スポットの至るところで売られている“野茂Tシャツ”。
顔写真をプリントしてあるもの、トルネード投法のイラスト、初勝利翌日の「LAタイムス」をコピーしてあるもの・・・。
眼に映っただけでも7,8種類はあった。
街を歩いていると“野茂Tシャツ”を着た地元のちびっ子に、何度かすれ違った。
ちなみに、アメリカ人には、胸に漢字で「三振」と書いてあるものが、一番人気だった。
LA市内のあちこちで大歓迎されている気分に
タクシーに乗れば、必ずと言っていいほど
「日本人なの?じゃあ、ドジャースのNOMOを見に来たんだね」と、話しかけられた。
もちろんドライバーさんは、私が日本でスポーツリポーターをしていることを知らないんだけど、
「野茂投手の出身地・大阪に住んでいる」と言っただけで、
「スゴイねー」と驚き、質問攻めにしてくる。
でも最後に、
「今は、LAのNOMOだからね」
と得意気に言った横顔が、印象的だった。
日本人というだけで、LA中の人たちに歓迎してもらっているかのように、
会う人会う人に、優しく声を掛けてもらった。
知らない土地に来て、知らないひとたちに温かく迎えてもらうと、
それまでの不安が嘘のように、とっても幸せな気持ちになる。
海外で親切にしてもらうといつも、
「自分より前にここを訪れた日本人の方たちのお陰なんだろうなぁ」
と、しみじみ感じる。
もし、もし、野茂投手が、LAの人たちに嫌な印象を与えていたとしたら・・・。
「へぇ、NOMOを見に来たの?わざわざ日本から来るほどのことじゃないと思うけどなぁ、、、」
とか何とか言われて、
「余計なお世話だよ」
と、気分を悪くしていただろう。
私は、ご機嫌に鼻歌でも歌いたい気分で、スタジアムのゲートをくぐったのだった。
初めてのドジャースタジアム
私にとって、初めてのアメリカの野球場-。
ロサンゼルス・ドジャースタジアム。
それは、
今まで知っていた、どこの球場よりも広く、
まだゲームが始まっていないのに、圧倒されてしまう。
スタンドが何層にもなっていて、
最上階まで行くにはエレベーターで上がることになる。
その最上階からの眺めは、
まるで青空に浮かぶスタジアムの模型を、
真上から見下ろしているかのようだった。
私は、そこに立っているだけで、緊張していた。
野茂投手との再会
それを解きほぐしてくれたのは、
久しぶりに会った、野茂投手だった。
私「こんにちは」
野茂投手「こんにちは」
私「元気?」
野茂投手「はははっ、元気ですよぉ」
ちょっと、ぎこちなさそうに聞こえるかもしれないけど、
これが、いつもの会話。
日本にいるときと、全く同じ。
どんな状況であっても、そこに誰がいても、
まず、この会話から始まった。
たまに、
最後の「はははっ、元気ですよぉ」が
「元気なわけないでしょぉ」になったりしていたけど。
私は、笑ってしまいそうになった。
だって、ここはロサンゼルス。
頼まれたわけではないとはいえ、遠く日本から、はるばるやって来たのに。
普通は、
「あっ、いつ来たんですかあ?久しぶりですねえ!!」
ぐらいの反応は、あるよねぇ(笑)。
ちょっと拍子抜けした私。
でも、同時に嬉しくもあった。
アメリカにいようが、
メジャーリーガーになろうが、
全く変わらない野茂くんが、そこにいた。
日本からやって来た私に、
特に驚きも感激もせず、
嫌がることもなく(笑)、
他愛もない会話が始まる。
十何時間も飛行機に乗って来たなんて、すっかり忘れてしまう、
そんな空間だった。
さっきまでの、ドキドキはどこへやら・・・。
ここは藤井寺球場!?
ベンチで話している私の横を、他の選手が通り過ぎていく。
ん!?今のは誰だっけ?
次から次へと、知らない選手が通る。
それにしても変だ。こんなに知らない人ばかりいるなんて。
ん!?
あっ、そうだった!
ここは、藤井寺ではなく、ドジャースタジアムだったんだ-
と、改めて実感するほど、
私は、ベンチで、すっかりリラックスしていた。
横を通り、挨拶してくれた選手が、
あのマイク・ピアッツァ選手だったということも、
後になって気がついたのだった。
(続く)
全国主要書店、オンラインショップなどでご購入いただけます
イカロス出版オンライン書店
Amazon
楽天ブックス
紀伊国屋書店オンライン
アンダルシアの情報&街並みを載せていますので、よかったらのぞいてください
Twitter➡emi_spain
Instagram➡emi_miel_es
Facebook➡アンダルシア街歩き
YouTubeTube➡Emi*Spain スペイン